【外傷総論】病院到着前に何が起きている? 救急隊と病院をつなぐ**「MIST」**
本記事は医療に関する一般情報です。個別の診断・治療の指示ではありません。体調不良時は医療機関を受診し、緊急時は119番へ。
はじめに
実際の診療では、救急隊から患者さんの情報が入り、受け入れ準備を進めます。救急隊からの情報伝達の際に、伝えてほしい内容が毎回異なると、困りますよね。今回は、救急隊と病院が命を救うために情報を共有する際の、医療者共通のことばである**「MIST」**について簡単に説明します。
※ブログのメインテーマとは異なるので、読み飛ばしてもOK
MISTってなに?(救急通報 → 病院到着までの要点メモ)
MIST は、救急隊と病院が最初に共有する4つの情報のチェックリストです。
- M(Mechanism:受傷機転)
- I(Injuries:分かるケガ)
- S(Signs:今の状態)
- T(Treatment:やったこと)
M(Mechanism:受傷機転)
何で、どの方向に、どれくらいの強さで?
例:「自転車で転倒して、ハンドルが腹に刺さるようにぶつかった」
I(Injuries:損傷)
見えている/疑っているケガは?
例:「みぞおちに打撲痕・血腫あり、お腹の痛み(腸管損傷の可能性?)」
S(Signs:所見)
今の様子・バイタルの特徴は?
例:「顔が青白い、息が浅い、血圧 100/70 mmHg、脈 110/分」
T(Treatment:処置)
これまで何をした?
例:「安静・保温、(可能なら)出血部位の圧迫」
ワンフレーズ要約:どうケガした/どこケガ/今どう/何した。
病院側の動き(到着前に勝負が始まっている)
救急隊からの患者さんの情報をMISTで受け取りながら、重症度と損傷部位をイメージし、スタッフ配置・機器・輸血体制などの準備を進めます。
外傷診療は多職種・多人数の連携が必須のため、患者さん到着前の「準備と行動」が予後を左右すると言っても過言ではありません。
最終更新日:2025年10月13日